―――…庭園に夕日が差し込む頃。 昼の暑さがまだ少し残り、蝉の声がしだいに静かになってきた。 「じゃあ、あたしそろそろ帰りますね」 澪は石から腰を浮かせると、立ち上がって小紅に視線をやった。 「もう、そんな時間か…?」 「はい。…母親の手伝いもあるので」