胡蝶の翅




後日である。


新聞の一面に生々しく映された焼失したという建物が載った。

50体以上の焼死体が見つかったという。



怒りを抑えて拳を握る間に、狙ったかのようなタイミングで客がやってきた。


「やあ」



愛想よく笑って左手を上げる、その左利きが男には疎ましく妬ましく憎らしい。

なぜ、自分は右利きだったのかと育ちさえ恨んでしまう。