目蓋の裏側に焼き付いたあの蝶の姿を思い浮かべながら男は胡桃をむさぼった。 ――…あれは、血の色ではない。 光に対応してうねる赤い繊維の集合体は、血液なんて汚泥の塊とは違う滑らかなもの。 ――…そう、火だ。 下から上へと空を望む火。 あの色は燃えているに違いないと男は身勝手にも納得していた。