「お礼は言っておくよ、サー・アイヴァンスのこと。
お詫びにできるだけ伏せてあげるから安心して街を歩くといいよ、アイヴァンス」
「それは有難い。
生きた化石のために牢に入りたくはないから」
「ま、手を下してない以上捕まることもないだろーけどー」
ごもっとも。
潜在的に存在した雷神の劣等感を引き摺りだしたところで、そこに殺意と殺害は立証できない。
彼が雷神を死に追いやった事実が知れれば社会的な批判が襲ってくるくらいであろう。
では、と言い残して彼は席を立った。
「ああ」
去ろうとした背中を呼び止めれば振り向くことも返事をすることもなくピタリと止まった。


