言った後で、いや、と言葉を濁した。 「シンデレラならいますがね」 「へえ、なかなかロマンチストだね君も」 「耳年増なだけですよ、『顔の割に』ね」 彼の肩には黒い蝶が羽を休めていた。 世界に珍しく、人を死へ誘う黒死蝶。 彼の友人の所有物であり今は借り物であるが、あまり人には懐かないはず。 それがこうも好んで肩に留まるとは彼も雷神も死者の匂いがするらしい。