胡蝶の翅




盾は持たぬ主義であった。

身を守る余裕があるならより多くを切ることを取る。

鎧も身にまとわなかった。

雷神と謳われるになるまで男は戦場にて雷槍を振るい続けたのに。



片腕を、しかもか利き腕を亡くすこと、つまりは剣を亡くすことは屈辱の極みであった。

失意に溺るる雷神に、軽薄な凡人どもは「盾を持て」という。



――…ふざけるな、儂は騎士だ。



耳を傾ける者はいなかった。

歳ゆえにいまさら左手で剣は持てぬ。




悲しみに囚われるのが嫌である。

死ぬまで誇り高き騎士であり『たかった』と。