――高校生、最後の登校日。



授業はなく、卒業式だけがとり行われるその日。



学校には卒業生と卒業式に参加する一部の在校生しかいないせいで、やけに静まっているように感じられた。



瞼を閉じては浮かぶ思い出の数の多さは、まるでこの三年間の長さを示しているみたい。



でも実際に感じてきた時の流れは、もっと短かったようにも思える。




その日の朝の教室には、いつも見てきた光景が広がっていた。



友達と、大声で笑いながら話すクラスメートたち。



だけど教室の中に出来た一つ一つの輪には、いつもとは少し違った空気も流れている。



みんな平然と過ごしているけれど、本当はこの日が終わってしまうのを寂しく感じているのかもしれない。