「……あのー、すいません…」 俺は声をかける。 小麦は本を棚にしまい、 「はい!どうしました!」 とこっちを向く。 向いた瞬間、 小麦の動きは止まった。 目からはゆっくり涙がこぼれる。 「れ…ん…さん」 と俺を呼ぶ声。 電話とは違う澄んだ声。 呼び方は4年間変わっていない。 俺は、笑顔で 「ただいま」と言った。 .