「荷物、積んだな?」



「はい。 

 本当にお世話になりました。」



俺は頭を下げる。





「蓮、頑張れよ?」



    ・・・・
「慶も、いろいろ頑張れよ?」




「おぅ。
 帰ってきたら驚かせてやるよ」




甘利が不思議そうな目で見る。




「じゃーな、甘利。」




「蓮も。
 小麦ちゃんは私に任せて!」




「頼む。」





「蓮くん」



小麦のお父さんに呼ばれた。




「はい。」




「頑張って。
 帰ってきたら、またおいで」




「本当に本当に
 お世話になりました。」



小麦のお父さんは
俺の肩をぽんと叩く。





「蓮さん」




「小麦……」




「いってらっしゃい。

 私、待ってるから…」



また泣いた。


泣き虫だな、まったく…




俺は涙を拭ってやる。




「じゃーな。」



小麦は頷く。



車に乗り込み、窓を開けて、



「またな!」




と、窓から手を振る。



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