「ゆっくりでいいよ。」
「……ご…めっ…なさ…い」
私は大声で泣いた。
私が泣いてる間、
蓮さんはずっと背中をさすってくれた。
なんで最近、
思い出すんだろう。
あんなに
思い出したくなかったのに。
「………肉じゃが」
「え?」
「………肉じゃがは
…母の得意料理だったんです」
「…………」
「……私、
母からあまり好かれてなくて…
……だから、
…母は……出てったんです」
蓮さんは黙っている。
「…家を…幸せだった家を
…めちゃくちゃにしたのは
私なんです……」
「………小麦ちゃん」
「………へへ
……笑っちゃいますよね。
全部私のせ……」
…………
目の前が真っ暗になった。
顔が暖かくなった。
ドクン、ドクンと音がした
首の当たりがギューとする
「小麦ちゃんは悪くない。悪くないよ。
俺がずっと傍にいてあげる。
小麦ちゃんの前から
いなくなったり絶対しない。」
耳元で声がした
甘く、優しい声。
「………蓮さ…」
私今、
蓮さんの腕の中なんだ…。
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