『………え』
うちのお母さんは
いい加減な人だった。
お兄ちゃんが小さい時は
近所からの評判も
良かったらしい。
でも、
私が生まれてからは、
夜遅くに帰ってきたり、
ちょくちょくお金が無くなってたり…
私はお母さんに嫌われてた。
お兄ちゃんとの扱いも違った。
でも、
お兄ちゃんもお父さんも
優しくしてくれた。
私がお母さんに嫌われてる分の
愛情を二人は注いでくれた。
そんなお母さんでも
朝は絶対に起きて、
キッチンに立っていた。
『出てったって……』
私は全身の力が抜けて
その場にしゃがみ込んだ。
『………私のせいだ…』
『違う!小麦は何も悪くない!』
『違くない!
…お母さんは……私が嫌になってそれで……』
なぜか涙が出てきた。
『ごめんなさい……
ごめんなさい……』
私は謝る事しか出来なかった。
父さんは、お母さんが
大好きだったから………。
『小麦は何も悪くない…』
お酒臭いお父さんが
そっと抱きしめてくれた。
いつの間にかいたお兄ちゃんと一緒に。
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