「はい、醤油!」
「ありがとうございます!」
私は醤油を詰め替える。
「何か作るの?」
私の後ろから顔を覗かせる。
顔が近い……
ドキドキする。
「肉じゃがを作ろうと思って。」
「へぇー、すごいね。」
「そんなこと……」
「俺の母さん、肉じゃが作ってくれなかったなぁ。」
「私は、母の料理で
肉じゃがが一番好きでした。」
え……
お母さんって、
久々に呼べた…
「………あぶなっ!」
―――――パシッ
「…………えっ」
蓮さんに手を握られている…
「醤油、こぼれそうだったから…つい……」
ごめん、と謝る蓮さん。
手を握られたとき思ったんだ。
お母さんって呼べたとき
思ったんだ。
やっと気付いたよ、
甘利ちゃん。
私は、
蓮さんが好きだ。
.

