多江は亜子から見てもとても頭のいい人間に見えた。授業中も亜子と違って積極的に挙手をするし、しかも大体答えが合っているのだ。
ああいう派手な格好をした生徒がきちんと勉強をしているのだと思うと、少し感心する。
そんなことを思っていた亜子は気付かなかった。
通知表を受け取り、それを開いたまま多江が驚きに目を見開いていたことなど。わなわなと通知表を持つ手が震えていることなど。
全く気付かなかった。
――何故?
まず多江の頭はそれでいっぱいになった。
何故、何故、何故。
何故何故何故何故何故?
しかし、ここに書かれている合計点は確かに合っているし、順位もその数字が書かれていた。見間違いではない。この数字が、多江の順位なのだ。
学年での順位は二位。
いつも通りの結果となってしまった。
あれだけ頑張っても、一位にはなれない?一体一位はどれほどの勉強をしているのだろう。
下がっているよりはマシだろうが、やはり多江は悔しくて仕方なかった。
