「出せよ。全部」
細められた目があまりにも怖かった。声すら上げられない二人に槙は嘲笑して片手を差し出した。
うっすらと目に涙を浮かべながら、結花もかほりも槙にお金を渡した。
計四千円。優一が舌打ちをした。
「まだあんだろ、全部出せっつったろ」
「ぜ、ぜん、ぶです…! ほんとに、ほんとにこれだけです……!」
とうとう泣き出した結花に、優一は更にイライラした。女はすぐ泣くから面倒なのだ。
厄介なことになる前に槙が引き上げて多江たちのところへ戻って行くと、それに気付いた優一も槙の後に続いた。
「加賀見、やり過ぎ…」
「…どこがだよ」
「いつも通りでいいんだよ…。あんな凄まなくても……」
槙が多江にお金を渡しながら口にすると、居心地の悪そうに優一は目を逸らした。
「加賀見くん怒ると怖いもんねー。結花ちゃんはちょっと可哀想だったけど、まぁこれだけのお金だもんなー」
「無いよりはマシだろ。ほら、次何するよ?」
千洋が多江に訊ねて、多江が示す場所へと五人は向かった。
