あの二人が放課後にゲームセンターに居ることが不思議だったが、多江の合図を受けて二つに結った黒髪を揺らしながら、槙が二人に近付いた。
先にそれに気付いたのはかほりだった。さっきまでの楽しそうな笑顔はなく、恐怖に目を見開いている。次いで気付いた結花も似たような表情で槙と、いつの間に隣に来ていた優一を見上げた。
「こんにちは、結花ちゃんにかほりちゃん……」
結花とかほりとは対照的ににっこりと笑顔を浮かべた槙は、親しげな口調で挨拶をした。こういうときだけ名前で呼ぶ。あたかも友達に話しかけているというように。
そして次に口を開いたのは、優一だった。
「松上さんと武村さんってこんなとこ来るんだね。意外」
「…う、うん……たま、に…」
「そうなんだ。でもこんなとこ来るってことはさぁー…お金、持って来てるってことだよね」
まるで小さな子供に話しているかのような、柔らかな口調。
結花が思わず一歩下がったのを見計らい、優一は声を低くした。
