いじめがえし


◇◇

テストの返却がある程度行われ、多江は上機嫌のままゲームセンターに来ていた。思っていた通りの高得点に気持ちが舞い上がっているのだ。

槙と千洋と優一は相変わらずの点数だったらしいが、千波は宣言していた通りいつもよりはいい点数だった。それでも六十点代らしいが、千波からすれば進歩しているのだ。多江はそれを少なからず嬉しいと思った。


「こーみちゃんもね、結構いい点数だったんだよ。千波負けちゃうかも」

「ふぅん。何点?」

「えーとね、七十とか…八十とか…そのくらいだったかなー」

「それ完璧に負けてんじゃねえか」

「これからだもん。ていうか、仲山くんには言われたくないー」


七十か八十。
いつも自分の上に居るその生徒では無さそうだと、多江は思った。今回のテストでも、その生徒は高得点を叩き出しているに違いないが、もしかしたら今回は勝てるかもしれない……。そんな期待を胸に、多江は一人小さく笑った。