真希に言われて気付いた。
思いを伝えることもしないまま自己完結していた英知は、自分の気持ちに素直になってなかった。


彩が英知ではなく啓吾を選んだのは当たり前だ。
少なくとも啓吾は彩に気持ちを伝えたんだから。


伝わらない方法をとっておきながら、自分の気持ちを伝えた気になって勝手に失恋するのは自己満足だ。


告白した気になっていただけの英知は付き合うどころか、失恋すらできるはずない。


「バカだよ、仙道…」


英知は小さくつぶやいた。
それに顔を上げた真希を見ながら、自嘲気味に続ける。


「こんな俺が好きだなんて、お前本当にどうかしてる…」