一人はウェーブかかったボブで、もう一人は長い髪を頭のてっぺんでお団子にして。
どちらも大量の荷物を抱えていた。


「英知、何でこんなところにいるの?」


ボブの子が、さっき聞こえたのと同じ声で言った。
その表情が不審そうだったので英知に目をやると、彼はしまった、と言うように口を押さえて彼女たちから目を逸らしていた。


「買い出しサボって何やってんの?」


「さっき電話で具合悪いって言ってたけど、大丈夫なの?」


彩は驚いて英知と彼女たちの顔を見比べる。


彼女たちの荷物を見る限り、買い出しの途中であるのは事実みたいだけど、彩は英知がサボった、というセリフに耳を疑った。


だって、さっき尋ねたとき、英知は確かに今日は暇だと言った。
それを聞いて気兼ねしないで済むと思って、啓吾の代役を頼んだんだから。