中間試験が近いため、今日から部活の停止期間。

みんなは授業が終わったらすぐに下校してるってのに、私はこんな日に限って日直。
日誌を仕上げなきゃ帰れないなんて、本当ツイてない。

「早くしろよー」

せっかく早く帰れるのに、とタケルが目の前で私を急かす。

「そんなん適当に書いときゃいいんだよ」

タケルが私のシャーペンを奪って、日誌にすらすら記入していく。

一体何を書いてるんだか。
タケルはいい加減だから、任せたらとんでもないことになりそう。

「よし。
こんなもんだろ」

何となく嫌な予感がして、満足げなタケルの手元を覗くと、クラスの様子を書く欄に『タケルくんが今日もかっこよかった』なんて書いてる。

ちょっと!
何てことしてるの。

「こんなの提出したら先生に怒られちゃうよ」

全く、余計なことばっかりするんだから!

そんなこんなで、日誌を書き終わる頃には校内はすっかり静まり返っていた。

「早いとこ担任に渡して来いよ。
下駄箱で待ってるから」

タケルはそう言ってスポーツバッグを肩にかけて教室を出て行く。

なんだかんだ言って付き合ってくれるんだから、やっぱりタケルは優しいよね。