部活の後、制服に着替えて体育館に向かう。

今日からはタケルだけを待つんだ。
そう自分に言い聞かせながら体育館を覗くと、もう終了時間が近付いているというのに随分活気がある。

不思議に思いながら練習を見ていたら、私に気付いたタケルが駆け寄って来た。

「実果、ごめん。
言い忘れてたけど、週末に練習試合があるから、今週はうちの部だけ延長なんだ」

体育館の時計を見ながらタケルが、あと一時間くらいかな、と言う。

Tシャツが汗でびっしょり。
部活をやってるときのタケルって、悔しいけど少しだけ格好いいんだよね。

「そっか…」

部活じゃ仕方ないけど、いつも三人で帰っていた道を一人で歩くのは少し寂しいな、なんて思ってると、

「一時間くらいそこで待っとけよ。
一緒に帰ろうぜ」

タケルがさらっと、そう言った。

本当にタケルって、何も言わなくても私の気持ちが分かっちゃうんだな。
半ば感心しながら、コートに戻るタケルを見送ったとき。

「あなたたちって、付き合ってるの?」

聞き覚えのある声がして振り返ると、希美ちゃんが立っていた。