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放課後、秀平とタケルは部活の顧問の先生に会いに行くという。
秀平の体力が回復してきたから、基礎練習に参加させてもらえるか聞くんだって。

「実果。
お前、佐々ちゃんに会いたいだけだろ」

付いて行きたがる私に、こう見えてバスケ部キャプテンのタケルが核心を突く。

佐々ちゃん、ことバスケ部顧問の佐々本先生は若くてかっこよくて、男女問わず生徒に絶大な人気を誇ってる。

数学担当だけど、私の学年は授業を持ってないから、こんなことでもなきゃそうそう会えないんだもん。

「…さっきあんなに泣いてたくせに、もう笑ってる」

「へ?」

ふいにつぶやいた秀平に、私は素っ頓狂な声を上げてしまった。

さっきっていつ?
学食でのこと?

「何だ、お前見てたのかよ。
やらしー」

タケルが冗談ぽく言う。

「公衆の面前であれだけ派手にやってれば、見るつもりがなくても目に入るよ」

私は慌てて首を振った。

「あれは何でもないの!」

希美ちゃんに勝手に嫉妬した上に、タケルに慰められて泣いたなんて知られたくない。

「秀平には全っ然、関係ないから!」

秀平は少し不満気にふぅん、と鼻を鳴らすと、数学準備室の扉を叩く。

中から佐々本先生のどうぞ、という声が聞こえた。