学食で昼食を食べてる今も、ソースが頬についてたから指で拭いてやろうとしたら、まるで逃げるようにトイレに駆け込んでしまった。

「───なぁ、タケル。
何か最近、実果のやつ変じゃねぇ?」

俺が聞くと、タケルはラーメンを啜りながら、

「自分の胸に聞いてみれば」

と冷たくあしらう。

こいつ、絶対何か知ってるな。
ムッとしながら俺もラーメンを啜る。

「別に何もねぇよ」

「───それにしちゃ、用意周到じゃん」

俺は訳が分からずタケルを見る。

「どういう意味だよ」

「両親いないのをいいことに、実果連れ込もうとしてんじゃねーよ、って言ってんの」

タケルの言葉に思わずラーメンが気管に入りそうになり、むせる。

実果の様子がおかしい原因はタケルの入れ知恵のせいか。
俺は彼を睨んだ。