「秀平とタケル、これからこっちに来るって」

そう言って携帯電話をしまうと、久美子と沙耶が顔を見合わせる。

「私たちは先に行こうか。
さっき秀平くんのこと、思いっきり睨んじゃったし」

彼女たちの言葉に驚く。
何でそんなこと…。

「「だってタケルが不憫だもんねー」」

二人は笑いながら頷き合う。

「せっかく実果が彼女になったと思ったら、あっさり秀平くんに奪われてるし」

ケラケラ笑う久美子に、本当にタケルのことを不憫に思ってるのか若干怪しく思える。

「今回を期に、そろそろ実果のこと諦めるかな?」

沙耶がぽつりとつぶやく。

「慰める振りして、私もう一度告ってみよっかなー」

久美子がポリポリと頭を掻く。

え?どういうこと?
私の顔にハテナマークが浮かんでるのに気付いて二人は苦笑する。

「やっぱり実果、気付いてなかったか。
私ら、ずっとタケルのこと好きだったんだよ」

「二人とも玉砕したけどね」

二人は驚きの事実をあっけらかんと言った。