「独眼竜伊達政宗は、上杉・武田との連合軍でこちらに向かっている模様」


戦になるのは、時間の問題だった。忍びの報告に信長はニヤリと笑うと、


「・・・良い、下がれ」


と杯を啜った。


「愚かですね・・・・・・。信長公に逆らおうなど・・・。ふふ」


重臣の、明智光秀が怪しく笑う。光秀は、人を精神的に甚振り、殺すことを好んでいる異常者だ。


「黙れ、光秀。愚かな鼠共を掌で遊ぶのも、悪くはあるまい」


「ふふふ・・・。酷い事を言いますね・・・・・・」


光秀は信長の杯に酒を注ぐと、こう尋ねた。



「・・・お市様はどうするおつもりですか?長政殿から奪ったとお聞きしましたが?」


「・・・・・・・・・市は、まだ利用価値がある。





・・・長政が死んだ挙句には、市と共にその頭を杯にしてくれようぞ・・・」


「おやおや・・・。実の妹にその仕打ちとは。・・・・・・・・・・・・感服いたしました。元から浅井を滅ぼすおつもりなんですね?」


「ふっ・・・」


ニヤリと笑う信長。そう、浅井が伊達を滅ぼしても滅ぼさなくても、長政を殺すつもりなのだ、信長は。


「では、もう一つお聞きしたいことが」


「言うてみよ」


光秀は信長の正面に跪き、真剣な目でこういった。


「神咲琴音殿は、どういたしますか?長政殿が拾った捨て子と伺いましたが」


「・・・・・・殺すまでよ」