同居人の秘密~瞳の魔法に魅せられて~

 私には関係ないと思い、振り向かずに歩いていると、後ろから人が走って来て、私の行く手を阻むように、一人の男が目の前に立ちふさがった。


「すみません。お聞きしたい事があるんです」


 息を切らしながらそう言った男は、昨日もここで私に話し掛けて来た怪しい男だった。昨日と同じく、ダークスーツに色の濃いサングラスを掛けていて、いかにも胡散臭い。

 何なのよ……?


 私が男を警戒して身構えると、男はおもむろにサングラスを外し、

「お時間は取らせません。ちょっとだけ話をしてもらえせんか?」

 と言った。

 サングラスを外した男の顔は、意外な事に優しそうな印象で、なおかつなかなかの美男子だった。そして、私を見つめるその目は真剣そのものだったので、


「どんなお話ですか?」

 と私は聞き返した。