同居人の秘密~瞳の魔法に魅せられて~

 翌朝、私は出勤するため駅への道を歩いていた。

 あの高級マンションの前に差し掛かったところで、否応なしに昨日の記憶が蘇った。


 今日も陸はここで彼女を車に乗せるのかな……


 ああ、もうイヤ!

 もう陸の事なんか考えるの止そう。あんなヤツ、私には関係ない。ぜんぜん関係ないんだから……


 マンションから目を逸らし、前を向いて歩く速度を上げた時、


「すみませ~ん、ちょっと待ってください!」


 後ろから男性の叫ぶ声が聞こえた。