「何かあったの?」


「な、何もないよ」


「怪しいなあ。だったら何で秋姉の顔、赤いの?」


「知らないわよ! 私、もう寝るから。おやすみ!」


 それ以上追求されると冬に全部バレそうで、私は布団にもぐりこんだ。


「まあいいや。でも、そういう事なら、あたしも陸君を夏姉に譲るのやめた」


「え?」


 冬の言葉に、思わず私は冬の顔を見た。


「夏姉と秋姉とあたしの内、誰が陸君のハートを射止めるか、勝負しよう?」


「はあ? 何で私まで入ってるのよ?」


「あれ? 秋姉は最初から敗北宣言しちゃうわけ? それならそれでいいけどさ」


「別にそういうわけじゃないけど……」


「だったら、どっち? 秋姉はこの勝負に入るの? 抜けるの?」


「うっさいなぁ……」


 私は冬に背中を向けて毛布をかぶり、小さな声で「入れといて」と言っていた。