顔が、近い……?

 確かにそうだった。陸の綺麗な顔は私のすぐ目の前にあり、互いの吐息が顔に掛かかるほどだった。


 しかも、体は陸にピッタリ密着していた。私と陸を隔てるものは、私のパジャマと陸のTシャツという、薄い布だけ。


 それを通して、陸の思ったよりも広くて硬い胸の感触が、その温もりと共に私に伝わっていた。という事は陸もまた、私の体を感じているはず……


 急に恥ずかしくなり、床に手を着いて陸から離れようとしたら、陸に肩を掴まれ、グルンと体を回されてしまった。


 体勢が入れ替わり、今度は陸が上から私を見下ろしている。


「陸……?」


 陸は何も言わず、グレーのようなグリーンのような、その不思議な色の瞳で私を見つめていた。