同居人の秘密~瞳の魔法に魅せられて~

「そう? よかった。今夜は俺が使わせてもらうから。え、名前? 一条陸。知らないの? じゃあ覚えておいてよ。じゃあね」


 電話を切ると、陸は私を見てニコッと笑った。悪戯っ子みたいに。


「たった今から、日陰者とはさよならしたよ。小説を書いてるのは内緒だけどな」


「うん、それでいいと思う。それはそうと、スイートって聞こえたんだけど?」


「そうだよ。VIP用のスイートがちょうど空いてた」


「一泊で何十万円もするんでしょ? もったいないわよ」


「俺はそうは思わないな。だって、俺達にとっては大事な記念すべき夜なんだから。そうだろ?」


「それはそうだけど……」