同居人の秘密~瞳の魔法に魅せられて~

「でも、どうしてペンネームを使うの? しかも正体を隠して……」


「それも言わないといけないのかな?」


「言って? 全部話してくれるんでしょ?」


「分かったよ……」


 そう言った陸の声が、とても沈んだ声に聞こえた。


「俺はさ……、生まれながらの日陰者なんだよ」


「え? ど、どうして?」


 “日陰者”という言葉が、いつも明るい陸には酷く不似合いに思え、思わず陸の顔を覗きこんでしまった。陸は、そんな私の視線から目を逸らし、話を続けた。


「俺が親父の愛人、しかもオランダ人の子供だって、前に言ったよな?」