同居人の秘密~瞳の魔法に魅せられて~

「飲みながら話そうな?」


「うん」


 陸はブラックのままコーヒーをすすり、私はお砂糖とミルクを入れてスプーンでかき混ぜた。


「俺はさっき言ったように、ペンネームで小説を書いてる」


「うん」


「“秋野紅葉”の前は、“春野空”で書いたんだ」


「そう……って、えーっ!?」


「しっ、声がでかい」


「ごめんなさい。でも陸、あの“極悪人”の著者だったの?」


「ああ」


 陸が言った『一発当てた』って、その事だったんだ……


「“あぶく銭”なんて言って、ごめんなさい」


 私は陸にペコンと頭を下げた。