同居人の秘密~瞳の魔法に魅せられて~

「コウヨウちゃん?」


「そうよ。私が会う相手。本名じゃないけどね」


「ま、いいや。俺がそのコウヨウちゃんだとしたら、辻褄が合わないか?」


 一瞬、時間が止まったような気がした。陸はまじめな顔で私を見ているけど、私は、陸が言った言葉の意味を、うまく飲み込めずにいた。


「冗談言わないでよ……」


 我に返った私は、そう言って笑おうとしたのだけど、陸の顔は真剣そのものだった。


「もしかして、冗談じゃないの?」


「ああ、本気だ。俺は今、秋野紅葉(くれは)という名前で、女性誌に連載小説を書いている」


「秋野、クレハ?」


「紅葉(こうよう)と書いて“くれは”と読む」


 私はあまりな事に、頭から血がサーッと下がって行くのを感じていた。