同居人の秘密~瞳の魔法に魅せられて~

「大きな声で呼ばないでよ! 恥ずかしいじゃない」


「おまえが無視するから悪いんだろ?」


「私はこれから人と会うの! じゃあね」


 そう言って陸に背中を向け掛けたら、


「座れ」


 と陸は言った。強い口調で。


「はあ? 人と会うんだって言ったでしょ?」


「いいから座れ。早く!」


「わ、分かったから、怒鳴らないでよ。相手が来るまでだからね?」


 私は仕方なく陸の向かいに腰掛けたけど、入り口のチェックは怠らなかった。紅葉ちゃんを見逃さないように。