次の日の日曜日。

 私はいつ陸からお誘いが来るかと、一日中ドキドキしていた。“心の準備”は出来たと思う。


 ところが陸ったら、殆ど部屋にこもりっきりだった。私から誘うのはどうかと思うし……


 もう、頭に来ちゃう!

 もしかして、陸にからかわれてるのかな。



 結局、何もないまま週が明けてしまった。


「中山さん……」


 編集長の筒井女史に名前を呼ばれた。


「はい?」


「『忍び寄る甘い罠』は順調に進んでるの?」


「ええ、まあ……」


「著者とは、やっぱりメールだけ?」


「はい、初めにお会い出来ないか、って言ったんですけど、断られました」


「そう? これからはそういう著者が増えるのかしらね?」


 と筒井女史は言い、「困ったもんだわ……」と呟いた。