その原因は、今は隣のベッドに腹ばいになり、鼻唄を歌いながらマンガを読んでいる。


「冬……」


「な〜にぃ?」


「あんたさ、そろそろ勉強に本腰入れないと、家は浪人させる余裕なんかないんだからね?」


「ん、わかってるよぉ〜」


「分かってるなら、これは禁止!」


 私は冬からマンガ本を取り上げてやった。


「ちょ、秋姉……!」


 家が同居人を迎えたのは、家賃収入を得るためだ。食べるだけなら春姉と私の給料でぎりぎり何とかなるけど、冬の大学進学の資金を貯める程の余裕はない。


 だから、弘子伯母さんが持ち掛けた今回の話に、私達は飛び付くしかなかった。しかも伯母さんから提示された家賃の額は、世間の常識を遥かに超えていたし。