「ま、それは心配するな」


「え？」


「俺が教えてやるから。じっくりと。な？」


「え、う、うん……」


「あ、今『うん』って言ったよな？ じゃあ、決まりな？」


「い、言ってない。『ん……』って言っただけでしょ？」


「いいや、『うん』って言ったよ。確かにおまえは『うん』と言った」


「うるさいなあ。分かったわよ。『うん』って言いました」


「やったー！」


　何が『やったー』よ。

　喜ぶ陸を尻目に、私は複雑な心境だった。本当にこれでいいんだろうか。何か、大事な事が抜けてる気がするんだけど……