「行き先、考えてないの?」


「ああ。おまえ、行きたいとこある?」


「うーん、急に言われても……」


「どこ行くかな……」


「ねえ、陸。取り敢えず走らない? その後どこへ行くか考えましょうよ?」


 夏姉が帰って来て見られたら困るので、私はそういう提案をした。


「オッケー。じゃあ、行きますか……」


 陸はハンドルを握ると、真面目な顔で前方に目を向け、意外に静かに車は走り出した。


 陸が言ってた通り、今日は秋晴れの良い天気だ。