同居人の秘密~瞳の魔法に魅せられて~

「お待たせ」


 と私が声を掛けたら、陸はこちらを向いて「おお、行くか」と言ってテレビを消して立ち上がった。


 こっちに向かって歩く陸を見て、私の心臓がドキドキとうるさい。静まれ、心臓! これはデートなんかじゃないんだから!


 玄関を出ると、陸の青い車からは既に重厚な感じのエンジン音がしていた。


 これに乗るのかあ……。何かちょっと、怖いかも。


「何やってんだよ。早く乗れよ?」


 立ちすくむ私に、陸がそう声を掛けた。


「の、乗るわよ……」


 意を決して車の助手席側に行くと、「さあ、どうぞ」と言って陸が大きなドアを開けてくれた。