「あら、素敵じゃない? 副社長と秘書の恋って、そんな小説がどこかにあったわよね?」


 弘子伯母さんはハイテンションでみんなに同意を求めたけど、誰も相手にしなかった。


 実はそういう設定の恋愛小説が実際にあるのを、私は仕事柄知ってはいた。でも、春姉の落ち込んだ様子を見たら、伯母さんに話を合わせる気にはなれなかった。


「歳はいくつなんですかぁ?」


 変なムードにはお構いなしに、屈託なく冬が質問を投げた。


「いい質問よ、冬ちゃん。海さんはちょうど30だから、春ちゃんの3つ上ね? 陸さんは5つ下の25だから、夏ちゃんと同い年よ?」


 へえー。陸って見た目ガキっぽいから私と同じか年下だと思ったけど、私より3つも上なんだ……