祐介が戻るのを待たずに、僕も雨の中へ身を投じた。
梅雨が明けてからは、体が干からびてしまいそうな猛暑ばかりだったから、この雨は天の恵みだった。
真美を傷つけるつもりはなかった。
よく考えれば、美奈の話をすることが彼女を傷つけてしまうことくらいわかっていた。
僕が甘かったんだ。
自分の目的にばかりにこだわって、真美の気持ちを察することができなかった。
ずぶ濡れの濡れねずみ。ぼくにお似合いだなと鼻で笑った。
『会いたい・・・』
雨音の中、遠くで男の『声』が聞こえた。
「うるさい!勝手にしてくれ!」
『声』は応えなかった。
「この力のせいで誰かを傷つけるのなんてもうごめんなんだよ!」
今回も、そして母さんも・・・。
―小学校の帰り道に、近所のおばさんたちが僕の噂をしていた。
誰かに信じてほしかった僕は、会う人すべてにおばあちゃんの『声』が聞こえた話をして回っていたんだ。
「春樹くん、ちょっと変わってるわね。」
「家庭に問題があるんじゃないのかしら?」
「お母さんの愛情が足りのよ。」
「旦那さん、浮気してるんじゃない?」
あることないこと言いたい放題だった。
母さんはそんな話も聞こえないフリをして明るく振舞っていた。
だけど、ときどき僕の話になると父さんと母さんは喧嘩をした。
すすり泣く母さんを扉の隙間から垣間見たとき、僕はこの力の話を封印しようと決めた。
そうだ、また僕の身勝手で他人を傷つけてしまった。
あの時と同じだ。
僕は川沿いの道をとぼとぼ歩いていた。
ふと目線をやると川は赤黒く濁り、水かさを増している。
『会いたい・・・』
また遠くで『声』が聞こえたので、僕は振り返って思いっきり怒鳴ろうとした。
その拍子にマヌケな僕は足を滑らせ、川の方向に坂を転げ落ちた。
梅雨が明けてからは、体が干からびてしまいそうな猛暑ばかりだったから、この雨は天の恵みだった。
真美を傷つけるつもりはなかった。
よく考えれば、美奈の話をすることが彼女を傷つけてしまうことくらいわかっていた。
僕が甘かったんだ。
自分の目的にばかりにこだわって、真美の気持ちを察することができなかった。
ずぶ濡れの濡れねずみ。ぼくにお似合いだなと鼻で笑った。
『会いたい・・・』
雨音の中、遠くで男の『声』が聞こえた。
「うるさい!勝手にしてくれ!」
『声』は応えなかった。
「この力のせいで誰かを傷つけるのなんてもうごめんなんだよ!」
今回も、そして母さんも・・・。
―小学校の帰り道に、近所のおばさんたちが僕の噂をしていた。
誰かに信じてほしかった僕は、会う人すべてにおばあちゃんの『声』が聞こえた話をして回っていたんだ。
「春樹くん、ちょっと変わってるわね。」
「家庭に問題があるんじゃないのかしら?」
「お母さんの愛情が足りのよ。」
「旦那さん、浮気してるんじゃない?」
あることないこと言いたい放題だった。
母さんはそんな話も聞こえないフリをして明るく振舞っていた。
だけど、ときどき僕の話になると父さんと母さんは喧嘩をした。
すすり泣く母さんを扉の隙間から垣間見たとき、僕はこの力の話を封印しようと決めた。
そうだ、また僕の身勝手で他人を傷つけてしまった。
あの時と同じだ。
僕は川沿いの道をとぼとぼ歩いていた。
ふと目線をやると川は赤黒く濁り、水かさを増している。
『会いたい・・・』
また遠くで『声』が聞こえたので、僕は振り返って思いっきり怒鳴ろうとした。
その拍子にマヌケな僕は足を滑らせ、川の方向に坂を転げ落ちた。


