ぼんやりと宙に漂よう少女の視線に気づき覗き込む。

やっぱりもう少し時間を置いた方が良かったかもしれない。


「大丈夫だから。」

「え?」

「今、聞いてほしい。」


俺に目線を合わせ、口の端をキュッと上げた。

そうだ。
早く聞きたい事聞いて休ませよう。

八咲も疲れてるはずだし、俺も疲れた。


少女の顔色を窺(ウカガ)いながら質問を再開した。


「んじゃ・・・学校はどうする?」


俺の中で一番心配な事。
学校、行かせて良いものか悪いものか分からない。
家出なんてすぐにバレてしまうだろう。


「悠と通う。」


「?」


俺の高校の近くには小学校も中学校もなかったと思う。


おもむろに少女はせっかく掃除したばかりの床の上にリュックを引っ張ってきて広げ始めた。