決して悪くなかった親子関係。

現在高校2年生、思春期真っ盛りにしては自分で言うのもなんだけど"いい息子"だったと思うんだ。

過去を思い返しても何一つ心当たりがない。



俺が何したって言うんだ。

「はぁ・・・」

考えたって捨てられたという事実に腹が立つだけで、ため息でそれらをすべて吐き出す。




「ぅおぉ〜い。今日もしけた顔してんねぇ♪」

「はぁ〜〜!!」


背後から聴こえる能天気な声に今度は盛大な溜息がでた。

振り返らずとも分かる。


中学校時代からの友人、木瀬 緑(キノセ リョク)。

朝っぱらからこのテンションはコイツしかいない。

俺の隣をスキップで進み俺と緑の靴とズボンの裾(スソ)をビチョビチョに濡らしていた。

傘なんてあるのかないのかわかったもんじゃない。