ガっシャーン

手に持っていたマグカップを床に
落してしまった。

『は、花菜さん?大丈夫?』

素に戻った様子で陽希君が聞いてきた。

私は動揺していたけど、

「ご本人は怪我などしていないのでしょうか。」

と言うことが精一杯で、
手と足はがくがくと震えていた。

『火災に気が付いて家を出る際に転倒をしています。

…えっと、あ。やっぱだめ?
歩けない?

自力での歩行が困難な様子なので
緊急搬送を予定しています。』

高齢者が転倒し骨折するということは
その後寝たきりになる
可能性がグンと上がってくる。
私は絢子さんが凄く心配だった…。

「受け入れ可能か確認しますので
お待ちいただけますか。」