車は由紀ちゃんや奈南が予想していたホテルに到着した。
事前に2人から知識を叩きこまれていたので、
驚きはしたけど、何とか声は出さずに済んだ。

着いた場所は、市内で1,2を争う高級ホテルで
昨年リニューアルした際に新設されたフレンチダイニングが
高級だけどとっても美味しいと評判のお店だった。

先生は車がエントランスに着くと

「花菜。降りるよ。」

っと私に言って鍵を近付いてきてくれたドアマンに渡した。

(スマートだ。)

こういう場所での行動は慣れが出るなぁと
大和先生を見ていて感じた。
私をエスコートしてくれる姿は本当に素敵で
自分がお姫様にでもなったような感覚だった。

「ダイニングは上にあるんだ。
花菜、高いところ大丈夫?」

エレベーターを待ちながら先生が私の顔を覗き込んできた。

「大丈夫です。むしろ高いところは好きなんですが…。」

そこから先が言えずにいると、
エレベーターが開いて中に乗り込んだ。