柏木は一瞬立ち止まり、

「パーティーでも行くのか?」

っと私に声を掛けた。

「裕人(ひろと)。
花菜、可愛いでしょ。」

柏木を肩で小突きながら
ひそひそと言った。

「あぁ、馬子にも衣装だな。」

っと真っ赤になって言った。
隣にいる千寿ちゃんは大笑いだった。

私は取り敢えず褒められていると
受け取って、柏木に

「ありがとう、柏木。
千寿ちゃん、遅くなっちゃうから行ってくるね。」

っと声を掛け、またエレベーターへ向かった。

遠くの方で千寿ちゃんが柏木に向かって、

「あんたにしては頑張ったよ。」

っと肩をばしばしと叩き、

「うるせぇ。」

っと言うやりとりが聞こえてきた。

(なんのことだろ?)