かつては遥とよく行っていた、イタリア料理の店でしばらく待つと、遥が息を切らしながらやって来た。半年ぶりに見る遥は、やはり可愛かった。


「お待たせ~。ごめんね?」


 遥は俺の前に座りながら、明るい声でそう言った。はにかんだような、さも申し訳なさそうな、笑顔で。


 俺は遥からメールをもらってから、なぜ今頃になって俺に会う気になったのか、その事ばかりを考えていた。例えば、あの時言えなかった恨みを言うためか。あるいは新しい恋人が出来、それを俺に伝えるため、などなど。


 いずれにしてもネガティブな事しか想像してなかったので、こんな明るい遥の態度に、俺は戸惑うばかりだった。