次の日も、俺は会社に行かずにマンションの前の喫茶店に来ていた。やはりサングラスを掛けて。


 ああ、俺は何をやってるんだろうか……

 こうやって結衣を見張り、何をしたいんだ、俺は。
 おそらく今日もあの茶髪男が現れるだろう。なんとなく、そんな気がする。そして、俺がほしくても手が届かないほど高価な、ブルーメタリックのあの車で、結衣をどこかへ連れ去るのを、ただ指を咥えて見ているのか?


 惨め過ぎる……


 なぜ俺がそんな惨めな思いをしなきゃいけないんだ。俺は結衣の夫じゃないか。堂々とやつらの前に出て、「ふざけるな!」と言えばいいんじゃないのか?


 そうだ。そうしよう。しかし……