「それでもあんたは結衣が憎いですか? 結衣が嫌いですか?」


「違う!」


 俺は思わず叫んでしまった。


「俺はもう結衣を憎んでなんかいませんよ。嫌いでもない。むしろ、愛しています」


 しばらく沈黙が流れ、

「だったら、別れる必要はないじゃないですか?」

 と一条陸は言った。


「いいえ、結衣のために別れなければいけないんです。俺みたいな貧乏人と一緒にいたら、結衣は不幸になる。現に、あんなにやつれてしまったじゃないですか?」


「それは間違いです」