次の日、パソコンに向かって仕事をしていると、「三島さん……」と俺の名を呼ぶ女性の声がした。


 声がした方へ顔を向けると、見馴れない女性が俺を見ていた。ほどよく化粧が施された、ちょっとキツイ感じの凄い美人。


 えっと、誰だったかな……
 ああ、思い出した。名前は確か秘書課の中山春。


 社内屈指の才女で美女。しかし、今や評判は地に落ち、不名誉な噂の渦中にある人物だ。

 不名誉な噂とは、専務との不倫疑惑。ま、俺は噂話には全然興味ないけどな。


 そんな彼女が俺の所に来たという事は、たぶんあの事だろう。こっちから、きちんと挨拶に行くべきだったな。


 だが、そんな俺の想像は、少し違っていたらしい。