悪女の恋〜偽りの結婚〜

 醤油を垂らすと、ジュッと音がして、醤油が焦げたようないい匂いがした。レモン汁を垂らし、箸で摘んで一口食べると、適度に脂が乗った秋刀魚の旨みが、口の中に広がった。


「美味いよ!」


「よかった」


「おまえ、ずいぶん腕を上げたな?」


「そうですか?」


「ああ、びっくりだよ」


「ありがとうございます」


「おまえも食べろよ?」


「はい」


 結衣は「いただきます」と手を合わせて言うと、ニコニコしながら飯を食べ始めた。

 結衣って、こんなに可愛い女だったんだなぁ。何で今まで気付かなかったんだろう……